小学校高学年になると、当時人気だったフラッシャー付のサイクリング車が欲しかった時期がありました。
既にサイクリング車に乗っていた友人達は「普通の自転車の方が絶対良いぜ」と言っていたのだが、まだ普通の子供用自転車に乗っていた自分には、とてもキラキラした憧れのウィンカー付自転車にどうしても乗りたかったのです。
漫画雑誌の裏面広告で見た「ブラックマスク」に魅了され、この頃は寝ても覚めても自転車の事ばかり考えていたと思います。
ある日の夕方に家の外に出なさいと言われて出ると自転車屋の軽トラの荷台には、あの憧れの「ブラックマスク」が積まれていました。かなり高額だったのに見るにみかねて両親が無理して買ってくれたのだろうと思います。これを見た時の心臓がバクバクする感じは鮮明に記憶に残っています。ラジカセに次いで二回目の衝撃でした。
4つのスイッチが収められたコントロールボックス。
電源スイッチ、光の点滅だけのサイレントモード、連続音、穏やかな音、激しい音など好みによって選べたのが最高でした。
やっぱり、フラッシャーの効果というか見栄えの良さは夜間走行時に限ります。暗い夜道を乗りたくて、買い物があると進んで引き受けたりしていました。
この自転車でいろんな所に行ったものです。
たぶん今までの自分の人生の中では、この時期が一番自転車に乗っていたと思います。
いつも寡黙で怖かった父と二人でサイクリングも行ったし、友達と遠出して冒険したりもしました。
チェーンは何度も外れたし、パンクして自転車屋まで押して行ったことも数知れない思い出です。
上の写真はグリコのおまけですが、まさに当時の自分を彷彿させる出で立ちである。まさか自分がモデル?なんて思ったりしました。
そんな愛車も時の流れと共にサビて古くなってしまいました。
中学に上がり、さすがに通学で使うにはウインカーは邪魔だったので、後部のフラッシャーユニットを取り外し、コントロールスイッチの付いたボックスも外しました。
母は「せっかく買ったのにこんなにして」と怒っていましたね。
エピローグ
歌手の近藤真彦氏は古いサイクリング車を自宅に数台コレクションしているそうですが、以前あるテレビの番組をたまたま見ていた時、このブラックマスクを欲しがっていた近藤真彦氏に番組からプレゼントされていました。
見ていてものすごく懐かしく、実物をもう一度触ってみたいと思いました。
現在ではプレミアがついて現存車は高額で取引きされているようだですが、完全な形で手に入るなら今でも欲しい気持ちはあります。
いつか縁があれば再び手にする事が出来るかもしれませんね。