昆虫採集セット
注射器・ルーペ・ピンセット・防虫剤・防腐剤・虫ピン等がセットになって収められています。セットものの好きな子どもの心理を上手く掴んでいます。
当時は普通に売られていましたが、今だったら注射器等は何に使われるか怖くて販売できないかもしれません。実際、このような子供用のセットも危険だという理由でいつの間にか姿を消してしまいました。生きている虫に針を刺して液体を注入するという行為が残酷だという親の意見も多かったように思います。
こちらの物は、最近になって手に入れたものですが、よく当時のままで残っていたなと思う一品でした。まるで時が止まっていたような感じがします。
外箱を見ると当時の値段で200~300円だったようですが、子どもには簡単に手が出ない金額だった為、何日か分のおこずかいを貯めて駄菓子屋に走り、お目当ての昆虫採集セットを買った記憶があります。
小学生低学年の頃、夏休みの宿題となると昆虫標本が男子の中では定番の時期がありました。当時は身近に林や田んぼが沢山あって、いろんな虫が採れた時代だったから自然とテーマが決まっていたのかもしれなません。
たしかカルピスかなんかの箱にクワガタやとんぼ、蝶などを虫ピンで止め箱の表面にラップをかけるだけの手軽な提出物だったと思います。
ちょっとズルしてお祭りで買ってもらったカブトムシなんかも追加したりして
(北国在住にてカブトムシは生息していなかったので大変珍しく貴重でした。)
近くの商店や駄菓子屋で虫取り網やカゴ、昆虫セットを買って近所にあった畑や林に直行した暑い夏の日差しと草木の匂いが懐かしい。
今と違って自然が溢れているような環境があっちこちに残っていたので昆虫なんて採り放題でした。
汗だくになって家に帰ると自家製のジュースを母が出してくれて、一気に飲んでからまた出かけるという繰り返し。子どもは疲れ知らずです。
現在は野原だった実家の周辺も道の駅や住宅が立ち並び、昔の面影を残しているところはまったくありません。
思い起こせばなんとものどかで素直に良い時代でした。