古き良き時代へタイムスリップして思いを綴ります。

昭和ノスタルジー

少年時代

ケラの捕獲と夜中の脱走による大騒動

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今では殆ど見かけることもなくなってしまった「ケラ」、漢字で書くと「螻蛄」となる。

小学校低学年の頃、まだ家の前の道路もアスファルト舗装されておらず、土や砂利道だった。

家の近くに公園があり、ロケット型の滑り台があった事から、「ロケット公園」と皆が読んでいたのだが、放課後になるとそこでは時には過激な、また時間潰しのための色々な遊びが日々繰返し行われていた。

ある雨降りの朝、何を目的にしていたのか忘れたが、ひとりで公園に行ってしばらくブラブラしていたのだと思う。

ふと水銀灯の立っている土台部分の周辺に水たまりが出来ていたのを見て、何気に水面を見ていたら“ヤツ”はいた。一匹のケラが悠揚と泳いでいたのだった。

出典元:Hirokou's Field Notes

小走りで家に戻り、愛用の虫かごを抱えて戻り、間髪入れずにヤツを捕獲した。ケラの身体はビロードのように滑らかで細かな体毛に覆われていて水を見事に弾いていた。

手の中に入れて軽く握ると身体は柔いのだが、土の中を掻き分けてもぐるだけあって、その大きくガッシリした両手は小さな虫?とは思えないほど力強く、手の中で逃げようともがいていた。

虫かごの中に入れてから、他にはいないのかと水銀灯の周囲を見渡しても見当たらない。
何気に水たまりの中に手を入れて泥を素手で掘り起こしていると・・数匹のケラが水面にプカプカと一気に浮いてきた。

その時の興奮状態は他人に見られたらヤバかったかもしれない。

水中をかき混ぜること数分、12匹のケラを捕獲した、虫かごの中では、突然の襲撃にあって捕獲され、パニックになったケラ達がワシャワシャと音を立てながら徘徊していて、ちょっと不気味な感じだったと思う。

喜々として家に持ち帰り、母に見せたらギョとして「逃がしてきなさい」と引きつった顔で言い放った。「やだ」とだけ言い自分の部屋に持ち込んでから、しばらく眺めていたのだが飽きた。

夜になり、枕元に虫かごを置いて寝ていたら、あまりの五月蠅さに起こされ、仕方なく居間にある階段の端側に虫かご置いて部屋に戻って寝た。

朝、起きて居間に行くとただならぬ雰囲気で空気が重い。と思った。母は自分を見るなり“キッ”として険しい顔をしているし、寡黙で普段から口数の少ない父は、いつも以上にしかめっ面で黙々と朝食を食べている。

あ~っ。これは何かあったなとピンときた。しかも原因はたぶん自分だろう。

母の話しでは、夜中にトイレに起きた父が、置いてあった虫かごに気づかず階段から蹴落としたらしい。虫かごは居間の床に落下して蓋が開き、ケラ達が一斉に飛び出したとの事。
母も父の騒ぎで起こされ、処理のために奮闘させられたそうだ。

「へ~、ケラって飛ぶんだね」と呑気に言ったら「大変だったんだぞ。何度も起こして呼んだのに起きなかったくせに」と親父は怒り心頭の様子。

「それでどうしたの?」と私

「全部捕まえて庭に逃がしたにきまってんでしょ!」と目のつり上がった母

「仕方ないわな」と父

「え~。そんな・・」「今日、学校に持って行って友達に見せようとおもったのに」と私

「そんなこと知らん」と父

まだ残暑が残っていて暑かった日の朝、嫌な汗をかきつつ学校へ肩を落として歩く自分の姿がなんとなく記憶にある。

実家に立寄ったついでに公園にある例の水銀灯の写真を撮ってきた。
いまだに同じ場所に頑張って立っていたが、当然ながら外見は経年劣化でボロボロな状態に
当時は根本の部分は土だったが今ではすっかり雑草が根付き、面影はなくなっていた。

2018年5月16日 加筆

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